チョコレート工場の秘密－ワンカさんとゲーテ

2000.09.16著

『古い基礎を人は貴ぶが、同時にどこかで再び初めから
　基礎を築きだす権利を放棄してはならない。』

ゲーテ　”格言と反省”より

ワンカさんのチョコレート工場知ってますか？
そうです。あのウィリー・ワンカさんです。
そんな御仁は知らないですって・・・！！

そりゃあ、すごいんですよ！ワンカさんって・・・。
絶対に融けないアイスクリームや噛んでも噛んでも味がなくならない
チューインガムなんて朝飯前に作っちゃうんです。

「常識なんて吹っ飛ばせ！」と意気軒昂のワンカさん。
中学生や高校生の君たちの方がお馴染みかもしれませんね。

実は”ワンカ”さんとは子どもたちをワクワクドキドキさせてきた有名な
イギリスの児童文学の登場人物なのでした。

この作品、児童文学ではありますが、
むしろ、お父さんやお母さんにこそ
是非お読み頂きたいなと思う、示唆に富んだ作品です。

ＳＦの要素をふんだんに盛り込んだ分、少々乱暴な展開という気が
しないでもありませんが、面白さを通じて訴えたい部分がジワッと
伝わってきます。　

イギリス（アメリカ？）を代表するいろんなキャラクターの子どもたち
5名がワンカさんの工場に招待されます。
さすがに、日本名物”塾勉君”は登場致しません。
この辺はお国柄の違いですね！

これ以上、筋を言ってしまったら読む楽しみが無くなっちゃいますから
割愛させて頂きますが、ゲーテ作品とは違い、構えずに気軽にどんどん
読み進める一冊です。

さて、このワンカさん、日本代表として、卒業してもルート49が解らない
理工科の”塾勉君”を工場に招待したらどんな騒動を用意していてくれて
いたでしょうか？
思わず想像力の虫が蠢きます。

そして、ワンカさん、
「基礎を築きだす権利」を放棄しつつある現代模様
を見て、「こりゃイカンワ」と言ったとか言わないとか・・。

著者ロアルド・ダール氏は、
オスカー女優パトリシア・ニールさんのご主人で、
4人の子どもさんたちに寝る前に聞かせてあげて出来上がった作品だということです。

パトリシア・ニールさんは「ＨＵＤ」でアカデミー主演
女優賞に輝いた女優さんですが、昨年の話題作、ロバート・アルトマン監督の
「クッキー・フォーチュン」で老婆クッキー役を演じた女優さんと言えば
頷かれる方も多いのではないでしょうか？
ヘプバーンさんの「ティファニーで朝食を」にも出演していますよ！

ロアルド・ダール氏の著作は他に、本書の続編ともいえる
「ガラスのエレベータ宇宙に飛び出す」など沢山の著作があります。

ともかく、ＩＴ技術隆盛の現代だからこそ、とにかくゲーテさんの精神、
ワンカさんの知的意気軒昂を忘れることなく、

自らの血として、
「利用」する力だけではなく「考える」力を流しておかないことには、
私たちは知らぬ間に単なるマシンになってしまうかもしれません。

---

チョコレート工場の秘密
チャーリーが住んでいる町に、チョコレート工場がある。
世界一広大で、世界一有名なワンカの工場。働く人たちの
姿をだれも見たことがない、ナゾの工場!
そこへ、五人の子供たちが招待されることになった。
招待状の入ったチョコレートは、世界にたったの五枚。
大騒ぎになったけれど、チャーリーには望みがない。
貧しいチャーリーがチョコレートを口にするのは、
一年に一度、誕生日に、一枚だけなのだから…。
（「BOOK」データベースより）

何が面白いのか人気の意味がサッパリ不明の【ハリーポッター】
などより、はるかに面白いと思いますが・・・。

---

ガラスの大エレベーター
ワンカ氏ご自慢のガラスの大エレベーターに乗ったチャーリー一家。
【チョコレート工場の秘密】の続編です！！
あの有名なチョコレート工場へ帰るはずが、高度を上げすぎて、
なんと宇宙に飛び出してしまった。

そこに浮かんでいたのは、アメリカご自慢の巨大宇宙ホテル。
中にいたのは、あろうことか害獣クニッド。

あやうし、ガラスの大エレベーターご一行!
しかし、ワンカ氏の目はチカチカっと光って…。
くり出す奇策と奇怪な発明品に、読者も目くるめく世界へ…。

---

ゲーテ格言集
ゲーテ詩集
ゲーテを知らずして人生を歩むことは、
免許なしで運転するにも似たり！
気楽に読める格言と詩集から読み始めませんか？！

---

「言葉と詩の花束」一覧へ戻る