教育の惨状

2000.12.09著

教育の惨状

我が家の下のチビさんの学年、5年生でついに登校拒否者が出た。
登校拒否予備軍も少なからず居ると言う。

我が妻はパートの傍ら、学級代表として11月からは毎朝の読み聞かせをやって来た。

少しでも学級崩壊や子どもたち自体の崩壊に歯止めをかけたいという願いからの実践活動を模索し開始した。

軌道にも乗り始め、一般父兄にも協力を依頼した矢先の出来事である。

2クラスの内の1クラスの状況が至って悪い。
もちろん、先生だけの差異に全てを帰結することは出来ない。

一人の女の子が約10名の男子による、しつこい言葉のいじめが原因で、女子の中でも浮いた存在になり、遂に登校拒否にまで追い詰められたということである。

この生徒のご両親は、ここまで追い込んだ学校側の責任と加害者の両親に対して話し合いを持つことを要求され、実際に持たれたそうであるが、問題の本質解決には至らないのは当然と言えば当然だろう。

今までからして、加害者の多くの生徒は4年生の時から何度も保護者が呼び出しを受け、その都度きつく親も叱っていたということであるが、ほとぼりが冷めると再び違う相手をターゲットにしていくだけという繰り返しに陥っていたということである。

加害者側はほとんどが3人兄弟。
そのことによって、周りからも「3人も産んで手が回らないんじゃない」という意見も次第に湧き上がってくる。
同じように育てているのに親ですら分からないと言われるのも正直なところだろう。

この小学校には、親に所謂”エリート”とやらが多い。
土地柄や社宅の多さもあろうが、医者が多い、銀行マンが多い。

いつから職業で”エリート”が決まるようになったのか不思議でならないが、ともかく子どもの出来に反比例して中学受験希望者が異常なことに大多数を占める。
我が家なんぞは私学にやりたいとしてもやれないのだけれども・・・。

いろいろと話を聞いていると、やはり親の姿勢・価値観というものが子どもに決定的影響を及ぼしているように感じないではいられない。

いくら場合場合を建前で叱っても、実が伴っていないのではないのか?

例えば、一番問題があると思われる子は、「おまえの家は貧乏やからこんなものは食べたことないやろ。食わしたるわ。」

社宅の広さに恵まれた東大卒大手都銀のご子息が、狭い社宅の大手電機メーカのご子息にこうのたまうのだそうだ。

かと思えば、「おまえとこは医者やから・・・」と媚びへつらうといった調子・・。

教育の惨状

私のような大人であれば、そこまで相手が言うのであれば、「東大卒の大手都銀の銀行マン・・それがどうしたん?東大出ようが結局のところただの”金貸し”じゃないの?」と反撃するだろう。

「医者・・それがどうしたん。医学部から転身して理工に進んだ奴が”医学の勉強より理工の勉強の方がよっぽど難しい”って言ってたぜ」と言い返すだろう。

まあ、こんなことを書くと、真意は全く理解してもらえず、確実に読者は減るのだけれども・・・。

ともかく、経験・知識・精神どれをとってもこれから育てていく途上にある子どもたちだから、対抗しようにも出来ないし、無視するにもそこまで成熟出来ていないのだから、笑って聞き流してはいても、引き摺る引き摺らないは別として、その時には確実に傷として埋め込まれまることは事実だろう。

何故、子どもがこのような大人顔負けの会話をするのだろうか?
家庭生活の中で、意識的ではなくとも、独特の尺度で普通の人を蔑んだり、逆に、自分たちを蔑んだりしている雰囲気や夫婦の会話があるとしか私には思えないのである。

長女の時も傾向としては確実にあったのだが、子ども通しの会話とは思えないような”家”レベルの会話をなさっているのである。
「私のお父さんは地方の国立大学だからダメなの・・・奥のお父さんはどこ?」

私の娘はそんなことは全く知らなかったので、家に帰ってきて母親に尋ねたそうである。
とうてい子どものする会話ではないのだ。
「そんなことを知っててどうするの?」と言いたくなる。
いや、それ以上に自分の父親を、そんな属性でダメだと蔑んでいることには呆れ返るしかない。

学歴や職業という尺度で余りにも人と比べたがる大人の”こころ”そのものが子どもにも染み込んでいるのではないだろうか。
比べることでしか自分の価値を見出せない親の姿がそこにある。

学歴はまだしも”努力の結果”という実があるけれども、職業に至っては全く何の実も無いのであるからこれほど無意味な尺度も無いのにだ。

「大手都銀の銀行マンも百姓のおっちゃん」も私には何の変わりも無い。
むしろ、百姓のおっちゃんの方が自分の身体一つで世の中の役に立っている分はるかに尊敬に値すると思っている。

こういう尺度で家や夫婦の会話が進んでいるのだとすれば、どれほど貧しい家庭なのだろうと思わずにはいられない。

自分の会社、主人の会社、主人の学歴、子どもの学歴、あれやこれやの単なる”属性”でしか勝負できないのは、はっきり言って「恥ずかしい」ことなのだということを、私などは当たり前のこととして生きているのだが・・・。

日本最大の自動車メーカに勤務する私の親友は、会社の名前をバックにして無意味に無礼な態度を取る部下を何度も叱り付けたと言っていた。
「おまえら、会社というバックが無くなったら誰も相手にしてくれへんぞ」と。

「誰も”偉い人”なんか居ないんや!みんな一人では何にも出来ないんやし。一生懸命みんなの為に働いて自分も実現しようとしている人が一番尊いんや!」

私なんぞは、別にノーベル賞やフィールズ賞を貰った先生でさえ、俗な意味での「偉い」なんて全く思わない。
まして医者や銀行マンや官僚がエリートだなんて微塵も思わないどころか、クソが多いとすら思っている。
「それが何なん?」という感じである。

本当に立派なのは、少なくとも、組織を離れても真っ当な仕事において自分の腕一本で生計を立てる人である。

かくして塾へ追いやられた子どもたち。
総体的には確実に学力も低下しているようである。
理数の理解に至っては、国際間比較レベルでも年々低下の一途であるという結果が出たという。

自分を持てない”親”が子どもを壊してる。私にはそう思えてならないのだが・・・。


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