オール原子力村による不作為の犠牲者フクシマ

-2016年11月30日著-

国会の警告無視で福島原発事故―再エネの爆発的普及で地域経済再生

東北大震災3.11から早くも5年以上が過ぎたにもかかわらず、福島は原発事故の傷跡深く、未だに多くの方が自宅に戻れないまま苦しんでおられます。

あの時、誰もがフクシマを支援しようと声を上げたはずの雰囲気もいつの間にか薄れ、避難先でイジメに遭う子どもたちの話や身近では「フクシマの農作物や魚なら注文しない」などという声も巷ではチラホラと見聞きすることは実に哀しいことです。

それ以上に、それでも原発を進めるぞという政府の姿勢にはただただ驚くばかりです。

原発の歴史から紐解けば一層問題が鮮明になるのですが、今回は2000年以降に何もしてこなかった(数多の提言や質問がありながら無視して何もしない不作為)政府はじめオール原子力村の所業だけをピックアップしておきたいと思います。

すでに、どこででも挙げられている情報かもしれませんが、当サイトのようなちっぽけなサイトで、一人でも多くの方が認識を新たに持っていただければという思いがあります。

先ず、2006年の日本共産党 吉井英勝 元議員の原発事故防止関連の質疑に対し、真摯に耳を傾け真剣に対処されておれば、少なくとも原発による被害は大幅に低減されていたことしょう。

即ち、この「不作為」の責任は2011年のフクシマに直結するものであり、直接的で重大な責任だと言えるでしょう。

共産党というだけで拒否反応を起こされる方も居られるでしょうが、イデオロギーを超越した技術屋としての質問として当然発せられるべき質問であり、原発のお抱え技術者でない限り技術屋であれば10人寄れば8人が当たり前のようにする質問だということを考えていただければと思います。

しかも、吉井英勝 元議員は京都大学の原子核工学科卒の方であり、政治の道に進まれていなければ【熊取7人衆】の先陣を切ったかもしれない方です。

ともかくも技術系出身の議員がほぼ皆無の日本の政治界では貴重な存在だったという以上に原発政策に対してはなくてはならない方だったと言えるでしょう。

以下の答弁は、これが博士論文でもあろうものなら論理的な反論説明が全くできていないとして到底学位など授与されないでしょうが、何より学問以上に重要な人の生命に関わるレベルでありながら、政治の世界ではこのケジメがないがしろにされるということ自体が異常なのではないかと思わずにはいられません。

■吉井英勝 元議員の原発事故防止関連の質疑応答ダイジェスト:2006年

■参議院における吉井英勝 元議員と安倍首相の原発事故防止関連の質疑応答:2006.12.13

吉井英勝氏

日本の原発の約六割はバックアップ電源が二系列ではないのか。仮に、フォルクスマルク原発1号事故と同じように、二系列で事故が発生すると、機器冷却系の電源が全く取れなくなるのではないか。

安倍晋三

我が国において運転中の五十五の原子炉施設のうち、非常用ディーゼル発電機を二台有するものは三十三であるが、我が国の原子炉施設においては、外部電源に接続される回線、非常用ディーゼル発電機及び蓄電池がそれぞれ複数設けられている。  また、我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない。

吉井英勝氏

大規模地震によって原発が停止した場合、崩壊熱除去のために機器冷却系が働かなくてはならない。津波の引き波で水位が下がるけれども一応冷却水が得られる水位は確保できたとしても、地震で送電鉄塔の倒壊や折損事故で外部電源が得られない状態が生まれ、内部電源もフォルクスマルク原発のようにディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなった時、機器冷却系は働かないことになる。  この場合、原子炉はどういうことになっていくか。原子力安全委員会では、こうした場合の安全性について、日本の総ての原発一つ一つについて検討を行ってきているか。  また原子力・安全保安院では、こうした問題について、一つ一つの原発についてどういう調査を行ってきているか。調査内容を示されたい。

安倍晋三

地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、原子炉の設置又は変更の許可の申請ごとに、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成二年八月三十日原子力安全委員会決定)等に基づき経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。

吉井英勝氏

停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか。

安倍晋三

経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。

吉井英勝氏

原発運転中に、膜沸騰状態に覆われて高温下での冷却不十分となると、核燃料棒の焼損(バーン・アウト)が起こる。焼損が発生した場合に、放射能汚染の規模がどのようなものになるのかをどう評価しているか。原子炉内に閉じ込めることができた場合、大気中に放出された場合、さらに原子炉破壊に至る規模の事故になった場合まで、それぞれの事故の規模ごとに、放射能汚染の規模や内容がどうなるかを示されたい。

安倍晋三

経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。

吉井英勝氏

原発の危険から住民の安全を守るうえで、国の安全基準や技術基準に適合しているのかを判断する基礎的なデータが偽造されていたことは重大である。そこで国としては、データ偽造が発覚した時点で、データが正確なものか偽造されたものかを見極める為に、国が独自に幾つかのデータを直接測定するなど検査・監視体制を強化することや、データ測定に立ち会って測定が適正かどうかのチェックをすることが必要である。国は、検査・監視体制を強化したのか、またデータ測定を行う時に立ち会ったのか。  これだけデータ偽造が繰り返されているのに、何故、国はそうしたことを長期にわたって見逃してきたのか。

安倍晋三

事業者は、保安規定の遵守状況について国が定期に行う検査を受けなければならないとされているところ、平成十五年に、事業者が保安規定において定めるべき事項として、品質保証を法令上明確に位置付けたところである。  御指摘の「データ測定」の内容は様々なものがあり、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第五十四条に基づく定期検査にあっては、定期検査を受ける者が行う定期事業者検査に電気工作物検査官が立ち会い、又はその定期事業者検査の記録を確認することとされている。  御指摘の「長期にわたって見逃してきた」の意味するところが必ずしも明らかではないことから、お答えすることは困難であるが、原子炉施設の安全を図る上で重要な設備については、法令に基づく審査、検査等を厳正に行っているところであり、こうした取組を通じ、今後とも原子力の安全確保に万全を期してまいりたい。

「万全を期しているところである。」という言葉が、如何にいい加減で浮薄な言葉であり、空疎で冷血無比なものであるかが思い知らされます。

こういった「不作為」の最高責任者でありながら、3.11が起こるや否や、当時の管首相の対応をなじったりヤジを飛ばしたり「海水注入中断の犯人は管首相だ」などとデマを流した姿には、その人間性にただただ口をアングリと呆れ返るしかありません。

普通の人間であれば、自分が対策を何もしなかったことに罪を感じ、少なくとも穴があったら入りたいぐらいの後ろめたい心境で、極力目立たぬように小さくしているものでしょう。

これらの行為一つ一つの中には、自らの判断の誤り、過失を犯したという罪の意識が微塵もないことが汲み取れるばかりです。

「原子炉を止めても冷却装置は止めるな」が常識ですから、実際に海水注入は中断されておらず、海水注入中断の事実を確認することなく、結果的にありもしなかった蛮行の犯人に管首相を仕立て上げることに成功してしまいました。

とにかく管首相を叩こうという一心がさせた行為としか映りません。
法門寺沙羅駆ならこう言うのでしょうか?

「嗚呼!この所業、醜悪至極なり」

原発は安全保障の問題とは相違して、表層も内実もイデオロギー以前の問題です。
共に生きる生命を尊重するという価値観を共有しなければ社会は成立できないし、してはならないという前提の問題ではないかと思うのです。

故鶴見俊輔氏が説いた柏木義円の『愚俗の信』、即ち、小学校で私たちも言い聞かされたであろう日常生活で持つべき素朴なコモンセンス、例えば「人を傷つけてはならない。人の生命を奪ってはならない。」そういう類の問題なのではないでしょうか?

成長という言葉を勝ち取るために、『愚俗の信』すら共有できない社会にすることもやむなしと為政者があがく時代に入ってきたことを実感してしまいます。

そして、彼は4年後の3.11に穏やかな顔で次のように語るのでした。

安倍晋三

復興の主役は言うまでもなく前を向いて歩む一人一人の人です。

「自己責任」という重宝な言葉が後ろ盾?

私は毎日官邸で福島県産のお米を食べています。

官邸で食事するのは1年で20回あるのかしら?
山口県産「昭恵米」ってご存知かしら?


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